第2号 ウチナンチュの気質(あくまで仮説)

本当であれば、8月5日には前期試験とその採点が終わり、その後は東京の自宅についてのんびりとしているはずだったのですが、台風9号のおかげで、4日の午後から5日中すべてのフライトが欠航となり、7日まで沖縄に足留めされてしまいました。

今回の台風はおよそ40時間、沖縄本島に暴風警報が発令されるという2004年時の台風をはるかに超える長時間の「滞在」となったようです。その被害も甚大のようですが、現地の人はおそらく慣れているのでしょう。あまり騒いでいる様子は感じられません。外に出ることもままならず部屋の中で軟禁状態が3日間となってしまいました。でも沖縄の人は「ナンクルナイサ」と言ってあっけらかんとしています。


沖縄での生活も4カ月が過ぎました。ようやく沖縄の人の考え方が分かってきたように思いますが、まだまだ自信はありません。私が接してきた人が沖縄を代表する気質の持ち主なのかも少々不安ですが、感じたことを述べてみましょう。
まず、この「ナンクルナイサ」と「テーゲー」についてです。

 

偶然でしょうか、8月21日の24時間テレビで「生きてるだけでなんくるないさ」と題したドラマが放映されました。番組を見た人は分かるように、主人公の男性が難病続きでやけくそ、自暴自棄になりかけてしまうのですが、希望を持って生きれば良い方向に向かう、皆で明日を信じよう!といった意味でこの言葉に元気づけられるのです。
「ナンクルナイサ」はその響きから「何とかなるさ」とほぼ同じ意味のように思ってとりあえず差支えないのですが、「自然に任せていれば」悪いようにはならないというようないわば「開き直り」感があります。皆が同じ(台風の)被害に遭ったのだから、皆同じではないか、だから皆で自然体で「励まし合おうよ」的なニュアンスさえ感じます。このドラマもそうでしたね。何故、「ナンクルナイサ」と言って済ませることが出来るのか今でも不思議でならないのですが、おそらく、台風はそういつまでも続くわけではないし、去った後には太陽が今までに増して燦々と輝いていることもその理由の一つでしょう。
しかし、学生達の様子を伺うと、例えば、「この科目は必修だから出席しないと単位は取れないよ!」と強く言い聞かせても「ナンクルナイサ」的な発言をしている学生達が多数いるのです。本来の意味ではなく、まさに自暴自棄そのものなのです。これは大きな問題だと思います。
沖縄の人のこの「楽観主義」的な発想は、自然環境が要因の一つではあるのですが、その歴史に大きく影響を受けているといわれています。これも最近NHKで放映されている「テンペスト」を見た人は察しが付くのではないでしょうか。明・清王朝に朝貢しつつ、薩摩・江戸幕府に従い、悪い言い方かもしれませんが、どっちつかずの立場を維持することで独立的な存在感をアピールできたと言えます。戦後の米国支配を受けての復帰後も米国と日本政府の狭間で揺れ動いています。「ナンクルナイサ」と発想することで存続し、かつ、そう考えるほうがどんなに心地よいことか。

さて、もう一つ、「テーゲー」
これに該当する意味は「おおらか」「おおまか」「大雑把」「適当」さらには「いい加減」でしょうか。

時間をきっちり守る、約束は確実に実行する、深く問い詰めて考えるってなことと正反対の意味なのです。正直、この「テーゲー」には今も悩まされています。マジメに考えて対応するのがバカバカしくなってしまう事さえ多々あります。
因みに、沖縄ナベゼミの飲み会(37期の皆さんへの解説:これはいわゆる食事会のことです!)の開始時間は19:30でしたが、皆が揃ったのは45分後でした。ゼミ幹曰く「今日は皆早くに集まったね!」。事前にうすうす知っていたので、私は19:30から既に飲み始めていました。皆が来る頃には、かなりいい気持ちになっていましたので「ナンクルナイサ!」てな状態でした!!
「テーゲー」の例を挙げればきりがないのですが、少々恥ずかしいのですが大学での事実を紹介しましょう。
大学のホームページの教員紹介に新任の紹介が載ったのは7月に入ってからです。担当者が「そろそろ掲載しますので原稿を」と言い出したのが6月末でした。私は4月には既に用意していたのですが。そして今現在(8月21日)も顔写真は掲載されていません。でも「これでいいのだ!」とバカボンパパごとくに対応するに限る、とようやく悟り始めました。
「沖縄のナベゼミ生、歓迎!」のコメントをゼミ生の多くの皆さんに投稿して頂いたにも拘らず、未だに反応しないのも「テーゲー」と思って大目に見てください!
こうして愚痴を言っている状態こそ、私が未だに沖縄に慣れていない証拠なのですが、驚いた沖縄の人の気質をおまけにもう一つ。

「難儀!」いやこれは漢字で書いてはいけない。「なんぎー」とゆるやかに書いたほうが正確でしょう。沖縄の人が良く発する言葉ですし、その行動原理に「なんぎー」的発想がある事が良く分かります。「なんぎーだから歩かずにタクシーに乗る」、「なんぎーだから授業に欠席する」、「2,000円の教科書はなんぎ―だから履修を取り消す」「喫煙コーナーまで行くのはなんぎ―だからここで吸う」等などです。確かになんぎ―なほどに暑い、何事も面倒になってしまうのですが、この一言のせいで沖縄人の平均寿命が縮まってしまったのではないかとさえ思ってしまいます。


でも皆さん、勘違いしないでください。沖縄の悪口を言うつもりでこの文章を書いているのではないのです。こうした気質をキチンと理解することから出発することが、「沖縄マーケティング」の出発点でなければならないのです。ここのところ、近々もっと詳しく書きましょうね(実はこの言い方「~しましょうね」は沖縄の人が頻発する表現です!)。そろそろ「なんぎー」になってきたので、この続きは次回の通信で!

いつになるか、それは「テーゲー」なのだ!!
(たぶん続く)


追伸:ダイビングへのお誘い
9月25日から28日まで、石垣島ツアーへのお誘いをしましたが、参加希望者は現在ゼロ!
この際、一人で、ダイビングの「Cカード」を習得することにしました。「それだったらこの際にやろうか!」というノリのいい人、いませんか?

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コメント: 7
  • #1

    23期 田村 (火曜日, 09 9月 2014 11:26)

    沖縄の人の気質を理解することができ、興味深く拝見させていただきました。また続きの話をお聞きしたいです。
    今まで何の反応もしておらず申し訳なかったなと先生や記事を載せてくれたOB/OGに対して反省しています。 お恥ずかしい話ですが、コメントの送り方がわかっていなく、これでちゃんと送られているか心配ですが、HPを覗いた際には何かしらのコメントを残せるように頑張ります!
    石垣島ツアーですが、月末ということもあり、参加は厳しいです。すみません。 10月のNASAでお会いできることを楽しみにしております。

  • #2

    nabe (火曜日, 09 9月 2014)

    田村さん、ありがとう。
    今回に限らず、沖縄に是非遊びに来てください。 あなたなら、ハマりますよ!

    そして、ウチナーンチュ(沖縄出身者)の皆さん、沖縄に関すること、何でも構いません、このコーナーに投稿してください!
    25期高里さん、29期平田さん、31期ミクさん、元気か―

  • #3

    23期toyo (火曜日, 09 9月 2014 11:28)

    ブログうなづきながら読ませていただきました。 本当にてーげーですよね!

    週1で沖縄料理のお店にかよっている私ですが、 さすが長寿の国って感じですよね。 三線の音色もはまってました。 泡盛ぜひ「春雨かりー」飲んで下さいね。 さて、私もぜひ取りたいのですが、札幌からライセンスのみ取得だけのツアーでいくか、そちらで安く取得できるところにするかと考えてました。 ちょっと手を挙げてみようかと思いました。また 色々教えてください。行った際には宜しくお願いします。

  • #4

    29期 sana (火曜日, 09 9月 2014 11:30)

    私の2回目の沖縄旅行も「てーげー」&沖縄タイムにやられました。。真栄田岬でのシュノーケリング。9:30集合とのこと。国際通りからレンタカー飛ばして行ったのに業者さんが現れたのは10:00過ぎ。しかも、時間について一言もふれずに「当然」とばかりにそのまま進んでいく。
    「あぁ、これが沖縄タイムってやつかぁ」と思ったことを思い出します。が、「これも沖縄」と開き直りましたし、沖縄大好きです♪

  • #5

    nabe (火曜日, 09 9月 2014 11:31)

    太田さん、早苗さん、そして沖縄を「経験」したことのある人は、私の言うことにうなずくこと多かったのではないでしょうか。
    知れば知るほど、不思議な島「沖縄」、やはり皆さん、一度来てみませんか?都合のよい時に。 社交辞令なしで、徹底的に案内します。同志を増やしたいのです。

    太田さんへ:シマ―(泡盛)が相当気に入っているようですね。札幌でそれほどファンになっているのであれば、疑う余地のないほど、ヘビーでディープな沖縄にハマるはずです。もうこれは来るしかない! まだまだ美味いシマ―があるぜよ!(これって高知弁?)

  • #6

    36期 細谷 (火曜日, 09 9月 2014 11:32)

    ご無沙汰しております。 36期細谷でございます。
    BOSSがきれいな写真と共にブログをなさっていたことに、遅ればせながらただいま気付き、コメントさせていただいた次第にございます。 申し訳ありません。。。
    沖縄での生活と、沖縄での’気付き’を知れるのは貴重です!!今後も拝見させていただきますので、次回はお勧めの泡盛をご教示願えますでしょうか!?

  • #7

    ヘタレ (火曜日, 09 9月 2014 11:32)

    ウチナンチュ気質いいですね~ 26期の佐伯です。
    ウチナンチュ気質の話、大変興味深く読ませていただきました。 「ナンクルナイサ~」と「テゲ~」は聞いた事がありましたが、「ナンギ~」は初めてでした。 私は高校の修学旅行と社会人になってからの二度、沖縄に行った事があります。 高校のときは2月に前線が沖縄に停滞し、土砂降りの三泊四日でした。 リベンジの思いで行った2回目の沖縄は9月でしたが海水浴もでき、シュノーケリングをしたり、ソーキそばを食べたり、遊びも食事も満喫しました(羽田に半袖・短パンで帰ってきて、すごく寒い思いをしたのを思い出します)!

    先生はじめナベゼミメンバーがいらっしゃる沖縄には是非行きたいと思っております。 ウチナンチュー気質、なんか僕にあっている気が・・・(お前のはだらしないだけだ!との声が聞こえてきそうですが・・・) ダイビングのご感想もお聞かせいただければ幸いです。

    ※先生のコメントの随所にあるジョークに、会社の自席にいながらニヤけてしまい、誰かに見られてないか心配です。

    書き間違えました(^^;
    「テゲ~」ではなく「テ~ゲ~」ですね(^^; このへんが『ヘタレ』と言う事で・・・